数式を使うやり方 - 月食を使った月までの距離と月の直径の求め方

数式を使っても平気な方はあっさりと !

復習

中心角 θ\thetaθ ラジアンの扇形では、弧の長さ xxx と半径 rrr の間に

x=θrx=\theta rx=θr

の関係が成り立つ。

計算してみよう

地球の影の三角形の頂角 PPP は太陽の見ための大きさをあらわす角 約 2分の1 度でした。 これをラジアンであらわしたものを ppp とします。 ppp の意味を考えると正確な値は p=(太陽の直径)/(地球と太陽の距離)p=(太陽の直径)/(地球と太陽の距離)p=(太陽の直径)/(地球と太陽の距離) です。

地球の影が作る三角形を考えると、地球から点 PPP までの距離を LLL として、地球の直径 DDD は

D=pL D = p LD=pL

とあらわせます。

月までの距離を rrr として、地球の「影」の大きさは

(地球の影の大きさ)=(L−r)p(1)\begin{align*} (地球の影の大きさ) &= ( L - r )p & (1) \end{align*}(地球の影の大きさ)​=(L−r)p​(1)​

です。 月の見ための大きさをあらわす角は図の QQQ の角度で、以下では qqq (ラジアン) とおくことにします。 ppp と qqq はほぼ等しいのでしたね。ここでは一応、別なものと扱います。

月の直径 ddd は

d=qr(2)\begin{align*} d &= q r & (2) \end{align*}d​=qr​(2)​

です。

スケッチから (月の直径):(地球の影の直径)=1:a(月の直径):(地球の影の直径)= 1:a(月の直径):(地球の影の直径)=1:a が得られているとすると、(1)(2)(1)(2)(1)(2) を 用いて、

qr:(L−r)p=1:aq r :( L - r )p = 1 : aqr:(L−r)p=1:a

これを r について解くと

qra=p(L−r)qra=pL−prr=pqa+pL(3)\begin{align*} qra &= p(L-r)\\ qra &= pL - pr\\ r &= \frac{p}{qa + p}L & (3)\\ \end{align*}qraqrar​=p(L−r)=pL−pr=qa+pp​L​(3)​

これが月までの距離を求める式。 p=qp=qp=q と近似すると、

r=1a+1Lr = \frac{1}{a + 1}Lr=a+11​L

d=qrd = q rd=qr, D=pLD = p LD=pL なので、 (3)(3)(3) 式から、

d=qqa+pDd = \frac{q}{qa + p} Dd=qa+pq​D

これが月の直径を求める式。 p=qp=qp=q と近似すると、

d=1a+1Dd = \frac{1}{a + 1}Dd=a+11​D

このようにして aaa の値から、あっさり月までの距離と月の直径がもとまってしまう。

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月食を使った月までの距離と月の直径の求め方

  1. 準備(1/2)
  2. 準備(2/2)
  3. コースA 数学(算数)を使わない方法
  4. コースB もっと直感的で、算数は少し使うやり方
  5. コースC 数式を使うやり方
  6. 謝辞

「月食を楽しもう」は2000年6月に公開された記事を編集・再構成したものです

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